春の数えかた
日付:2009/05/12
自然を感じる場所は田舎より今すんでいる都会の方があるような気がする。そんなおかしな事を最近感じることがあります。整備された河川は毎年鮮やかな桜の並木道になりそれは美しい通りになります。6月になると近くの公園に植えられたたくさんの数のしょうぶが花を咲かせそこにずっと立ち止まっていたくなります。でも、田舎には特にそんな場所はありません。春になると家々の隙間に花が咲き田畑がだんだん緑色になり青々としたした季節が終われば虫たちが音を奏でる秋がやってくる。田舎に住んでいるときは特に自然に親しみたいなどと思って生きていなかったのに、都会に住む今は季節を感じられる場所に足しげく通ってしまいます。そう考えると、都会の自然は人間のための自然なのだなとつくづく感じてしまいました。
この本は動物行動学者の日高先生が日々動物や植物について考えていること、今までの体験、そして現在の地球上の自然について考えたことが短く書かれているエッセー集です。先生の体験や視点に感動し考えさせられました。「8月のモンゴルにて」にアリの事が書かれていました。熱砂の六十度はあるだろう砂漠の上を暑さで死んでしまった死骸を集めるアリ達が、アリ達自身も暑さに死ぬかもしれない危険に犯されながら必死で動き回っている姿に感動したそうです。私も想像したら胸が熱くなる思いでした。これはほんの一説ですが、この本を読むとこんな風に地球上の動物も植物も全て危険と隣りあわせで子孫を脈々と受け継ぐために生きていることを感じることが出来ます。そして地球にとって人間もまたその一つでしかないことを改めて確認すると思います。
この本を読んで都合のいい自然の存在に改めて気づきましたが、逆にそこにはそんな人間の心を利用して生きている植物や動物の存在にも気づきました。人間と同じように地球上で生存競争を繰り返しているたくさんの生き物をもっと知りたい時は是非読んでください。私も何度も読み返し自然についてもっともっと考えたいと思いました。
書籍情報
日高 敏隆 (著)、新潮社 (2005/01)
