月のしずく

日付:2008/10/31

著者の浅田次郎さんの作品はよく読むのですが、いつも心に温かいものを残して終わります。この作品集もまたどれも最後に主人公や周りの人がささやかな幸せに気づいて終わります。一作品一作品噛み締めて読みました。

この本は7つの短編からなっておりどれも不器用で無骨な男の人が登場します。私があえてどれが一番気にいったか話すと「銀色の雨」でしょうか。暴力団の抗争で傷ついた一人の男・岩井、を守る若い男・和也と女・菊枝、三角関係でありながら岩井を全力で守ろうとします。和也と菊枝は恋人同士でありながら菊枝は岩井の女、和也は岩井の護衛役として3人で生活するのです。奇妙な関係を成り立たせているのは、岩井の無骨で真っ直ぐな魅力です。ちょっぴりほの悲しくなるお話でした。

また、「聖夜の肖像」では、昔の恋人を思い続ける二人の男女の愛情もさることながら、昔の恋人を愛し続けている女を愛する彼女の夫の愛に驚きました。それほどまでに深い愛情が涙を誘います。

表題作の「月のしずく」を始め色々な愛の形を描いた心温まる短編集です。幸せは案外すぐ近くにあることに気づくかもしれません。時間のあるときに少しずつ読んでみてはいかがですか。

書籍情報

浅田 次郎 (著)、文藝春秋 (2000/08)

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