失はれる物語
日付:2009/09/01
乙一氏の本を初めて読みました。独特の世界観と現実離れしているようで自分の身の周りにもありそうな心に響く物語に引き込まれるように読んでしまいました。
この本は7編の短編集です。一つ一つが不思議で魅力的な物語でした。表題にもなっている「失われる物語」は事故で腕の感覚以外全ての感覚が麻痺してしまった主人公とその妻の心情の移り変わりが描かれています。主人公のたった一つ出来ることを実行した勇気に驚かされました。同時に果てしもない孤独を受け入れることについて考えました。「Calling You」も「傷」も孤独から生まれる物語です。孤独や裏切りの苦しみは想像もつかないような現象を生み出すのかもしれません。他4編も人間のせつない思いから生まれた物語です。しかし根底にはどこか温かい物があり、絶望的な気持ちにはなりません。読み終えた時には小さな勇気をもらっているような気がします。
人間の嫌な面を見たりもう誰も信じられないと思ったときもこの本を読めばもう一度人を信じ始める事が出来るかもしれませんね。
書籍情報
乙一 (著)、角川書店 (2006/06)
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