夏の庭

日付:2009/12/02

私はいい大人になった現在初めてこの本を読みましたが、もし子供の頃に出会っていたらと思える作品でした。子供の頃、死というものを考えれば考えるほど分からなくなり、途方もないブラックホールのようなものをイメージし眠れない夜を過ごしたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。突然の人間の死を眼にしてもいったい何が起こっているのかなかなか理解できません。この本はそんな心に少しだけヒントをくれる物語です。

この本は3人の少年が死を眼にしたくて、一人暮らしのおじいさんを見張りはじめるという一見とんでもない発想から始まります。それを知ったおじいさんはもちろん最初は怒ります。しかし、少年達と老人の交流が深まるにつれお互いが心を許しあい絆が生まれます。おじいさんは一人暮らしのさみしかった生活から生きる希望を見出し、少年達はおじいさんに人生を生きていくということを教わっていきます。最後には成長していく少年達の姿を感じることが出来ます。

死とは恐ろしいもの、しかしやみくもに怖れるものではないものかもしれません。死があるのは素晴らしい生のためなのだとそんな風に感じられました。優しいなつかしい夏の空気が流れている作品です。是非一度手にとってみてはいかがでしょうか。お子様にもお勧めです。

書籍情報

湯本 香樹実 (著) 、新潮社 (1994/03)