地下鉄(メトロ)に乗って
日付:2009/01/12
父親や母親に反発している人はたくさんいると思います。反抗期という言葉も実際に存在しています。しかしいつの日か自分を育ててくれ何があっても自分を信じてくれるかけがえのない存在の両親に心から感謝する日がくるのではないでしょうか。
この本は余りにも複雑な家庭環境に育ち父親を憎んでいた主人公が、地下鉄をタイムマシンにして過去の父親を知り父親を愛することが出来るようになる話です。昭和初期や日本がまだ戦争をしていた時期に自分の愛人、みち子と一緒に戻ってしまう信治。そのみち子と戻ってしまうのにも意味がありました。結末を読むとせつない気持ちとこれでよかったのだという何とも複雑な気持ちが残ります。
みち子という女性を思うと彼女の強さとはかなさと一途さに心をうたれます。愛人関係というものには賛成できませんが、みち子は強がりながらも真治を真剣に愛しそして、愛をつらぬいた生き方をします。彼女の潔さには小気味いいものがあるのではないでしょうか。それは彼女の母親ゆずりのものなのでしょう。浅田次郎氏の描く強い女性は皆素敵な人々です。
地下鉄という一種特異な空間がタイムマシンになり時代を行き来する、それはとても楽しい物語でした。そして、誰もが一度は両親に反発し実は愛していることに気づかされる物語でした。
書籍情報
浅田 次郎 (著)、講談社 (1999/12)
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