幻夜

日付:2009/12/03

白夜行を読んだのはもう随分前になります。恐ろしい程に人の心を操り野望を果たしていく女性「雪穂」と影の存在になり助けるために手段を選ばない男性「亮司」。彼らの恐ろしさに背筋に冷たいものを感じながらも、お互いを思いあいそうするしか出来ない深い愛情も垣間見えた作品だったのが印象的でした。この本はその白夜行の続編です。

白夜行同様恐ろしいほど美しく妖しい魅力を放つ主人公の女性「美冬」にあっという間に引き付けられ、夢中になって読んでしまいます。同時に「美冬」のすることに吐き気をもよおす程の嫌悪感も覚えました。白夜行の時のようなやりきれない切なさは見つけることが出来ず、ただただ「美冬」の野心ばかりが際立ちます。

この本は阪神大震災のある事件で出会った「雅也」と「美冬」がその後あらゆる手段を使って世の中をのし上がっていく話です。人の心を操作し、人の心の先々を読み自らの欲望を満たしていく「美冬」の姿とその影となって生きる「雅也」の姿を描いています。読後感は彼女に対する苛立ちのような後味の悪いものでした。彼女はいったい何をしたいのか、何故そこまでして生きるのか、どうすれば満足するのか不思議でしょうがありません。

白夜行と合わせて是非読んでみてはいかがでしょうか。「雪穂」「美冬」という美しいけれど途方もなく恐ろしい女性の生き方にきっと引き込まれると思います。そして直向な愛を捧げる「亮司」「雅也」という男性の生き方は切なく心に響くと思います。

書籍情報

東野 圭吾 (著)、集英社 (2007/03)

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